君は僕の話を知らない

不毛な恋はやめよう、と、
勝手に諦めた

何度も口に出して言う
「どうせ届かないから、諦めたんだ!」
そう笑って、言う

それなのに君は、僕に笑いかけるのだ
アーモンドのような瞳を細くして
形の良い唇を、弓のようにして
ああ、うん、すてきな涙袋

去っていく君を目で追いながら
胸の高鳴りを込み上げるのに必死だった
目の奥が熱くなった
半開きの唇が震えた
負けるものかと、颯爽と歩く。


消えかけの笑顔を塗り潰すには
まだ時間がかかりそうだ

僕の中で、確実に君は根をはり、生きている。



(君の中に僕は育たないのに!)